
法人リースバックの賃料相場と利回り|事業用の賃料はこう決まる
法人向けセール・アンド・リースバックの賃料は「売却価格×期待利回り÷12」で決まります。事務所・店舗・工場など物件種別による利回りの違い、周辺相場と乖離する理由、契約前のチェックポイントを解説します。
約9分で読めます
法人リースバックの賃料は、周辺のオフィス・店舗賃料の相場ではなく「買主の期待利回り」から逆算されます。この決まり方を理解しておくと、提示された賃料が妥当かどうかを自社で検証できるようになります。
✓この記事のポイント
- 賃料は「売却価格 × 期待利回り ÷ 12」でおおよそ決まる
- 事業用は住宅より期待利回りが高くなる傾向があり、物件種別・立地で変わる
- 投資利回り基準のため、近隣の賃料相場と乖離することがある
- 売却価格を上げると賃料も上がるトレードオフの関係にある
- 月額だけでなく、契約期間全体の賃料総額で比較することが大切
賃料の決まり方:計算式はシンプル
買主(不動産会社・投資家)は、購入額に対して年間いくらの賃料収入を得られるかで採算を判断します。そのため賃料は次の式で決まるのが一般的です。
- 年間賃料 = 売却価格 × 期待利回り
- 月額賃料 = 年間賃料 ÷ 12
売却価格を高くすると
- ・受け取れる資金は増える
- ・買主の利回り確保のため家賃は上がりやすい
売却価格を抑えると
- ・受け取れる資金は減る
- ・毎月の家賃は抑えやすい
売却価格を高くすれば、利回りを保つために賃料も上がります。価格と賃料はセットで提示されるものと考え、片方だけで判断しないことが基本です。
事業用の期待利回りは物件種別・立地で変わる
事業用不動産は住宅に比べて借主の入れ替わりリスクや汎用性の低さがあるため、期待利回りは住宅より高くなる傾向があります。具体的な水準は物件により異なりますが、買主の見方はおおむね次のように整理できます。
| 物件種別 | 期待利回りに影響する要素 |
|---|---|
| 事務所 | 立地・グレード・空室時の転用のしやすさ |
| 店舗 | 商圏・視認性・業種を選ばず貸せるか |
| 工場 | 建物の特殊性・環境規制・次の借主の見つけやすさ |
| 倉庫 | 交通アクセス・天井高や床荷重などの汎用性 |
汎用性が高く次の借主を見つけやすい物件ほど買主のリスクは小さく、期待利回りは低め=賃料は抑えやすくなります。逆に特殊な工場など転用が難しい物件は、リスク分が利回りに上乗せされやすくなります。利回りの基本的な考え方はリースバックの利回りとはもご覧ください。
周辺の賃料相場と乖離することがある
一般のテナント賃料は周辺相場との比較で決まりますが、リースバックの賃料は投資利回りが起点です。そのため、近隣の類似物件より高くなることも、条件によっては近い水準に収まることもあります。
相場との比較は「検証」に使う
周辺相場はリースバック賃料を直接決める基準ではありませんが、提示賃料が周辺より大幅に高い場合は、売却価格を下げて賃料を抑える余地がないか検討する材料になります。売却価格は市場価格の6〜8割が目安です。詳しくは売却価格は相場の何割?をご覧ください。
月額ではなく「賃料総額」で考える
法人の場合、5年・10年と長く借り続けることが多いため、月額の差が総額では大きな差になります。たとえば月額の差が10万円でも、10年では1,200万円の差です。売却で得られる金額と、契約期間全体で支払う賃料総額を並べて比較すると、条件の良し悪しが判断しやすくなります。借入との比較はリースバックと銀行融資の比較で整理しています。
契約前のチェックポイント
賃料以外の条件も必ず確認
月額賃料だけで決めると、更新時の値上げや短い契約期間で想定が崩れることがあります。以下は最低限確認しましょう。
- 契約期間:普通借家か定期借家か、何年営業を継続できるか
- 賃料改定条項:更新・再契約時の値上げの有無と条件
- 修繕・原状回復の負担区分:建物・設備の維持費をどちらが持つか
- 複数社比較:同じ物件でも売却価格と利回りの設定は会社ごとに異なる
なお、賃料の損金算入など税務・会計上の取扱いは個別事情で変わるため、税理士等の専門家にご確認ください。
よくある質問
Q. 事業用の期待利回りは何%が相場ですか? A. 物件種別・立地・築年で大きく異なるため、一律の水準は示せません。住宅より高くなる傾向がある点を前提に、複数社の提示利回りを比較するのが現実的です。
Q. 賃料を下げる方法はありますか? A. 売却価格を必要額に絞れば、利回り計算のベースが下がり賃料も抑えやすくなります。複数社比較で適正な利回りを引き出すことも有効です。
Q. 賃料は途中で値上げされますか? A. 契約によります。更新・再契約時の改定条項が定められている場合があるため、契約前に必ず条件を確認してください。
Q. 周辺のテナント相場より高い賃料は不当ですか? A. 不当とは限りません。リースバックは投資利回り基準のため相場と乖離することがあります。ただし乖離が大きい場合は、売却価格とのバランスを見直す余地があります。
まとめ
法人リースバックの賃料は「売却価格×期待利回り÷12」で決まり、事業用は物件の汎用性・立地によって利回りが変わります。月額だけでなく賃料総額で比較し、改定条項や契約期間まで確認することが失敗しないポイントです。計算の基本は賃料の計算方法、サービスの詳細は法人向けリースバックをご覧ください。
大阪・関西の法人のご相談は、無料相談フォームよりお気軽にどうぞ。
この記事の執筆・監修
リースバックス 編集部編集部
リースバック・不動産売却に関する情報を、公的機関や事業者の公開情報をもとに調査し、利用者目線でわかりやすくお届けする編集チームです。制度や相場は変化するため、最新情報は専門家への確認を推奨しています。
監修:松浦 誠大宅地建物取引士
株式会社ハース所属の宅地建物取引士。大阪・梅田を拠点に、リースバックを含む不動産売買・賃貸借の実務に携わる。実務者の視点から、記事内容の正確性を確認しています。
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